2024年からNISAの限度額が大きく変わりました。投資初心者から経験者まで、多くの方が利用するこの制度の新たなルールについて、改定点とその影響をわかりやすく解説します。
特に、30代の方々が資産形成を考える上で、この情報は非常に重要です。
新制度の概要と、注意すべきポイントをしっかり押さえておきましょう。
NISAの基本
NISA(ニーサ)とは、少額投資非課税制度のことで、特定の口座を通じて行う投資が非課税になる制度です。この制度の最大の魅力は、得られる利益に対して税金がかからない点にあります。
特に、NISAの限度額に注目してみましょう。
2023年までの旧NISAの年間の限度額は一般NISAで120万円、つみたてNISAで40万円でした。
この範囲内であれば、株式や投資信託の配当や売却益が非課税となります。
この限度額が、2024年に始まった新NISAではどう変わったのか?新NISAの概要とともに見ていきましょう。
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NISAの利用で得られる非課税の利点
通常、特定口座等を利用して投資をする場合、配当金や譲渡益などの利益が出た場合は税金が発生します。
具体的には、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%がかかってきて、合計20.315%が税金として国に納める必要があります。
しかし、NISAではその利益にかかる税金が非課税(ゼロ円)になるという政府が推奨している投資非課税制度です。
※ただし、特定口座での投資では損が出た場合に損益通算をして税金を抑えられる効果がありましたが、NISA口座では損が出たとしても損益通算ができない点に注意です。利益に課税されないので、これは致し方ないかと思います。
これには、生涯の投資枠に上限があり、また年間の投資額にも上限があります。
また旧NISAでは一般NISAで5年間、つみたてNISAで20年間という非課税期間の縛りもありました。
新旧NISA制度の比較と特徴
新旧NISA制度を比較すると、特に「NISAの限度額」の変更が大きいでしょう。
新NISAは年間の投資限度額が従来の一般NISA120万円、つみたてNISA40万円からつみたて投資枠120万円+成長投資枠が240万円の合計360万円に増えています。
また、非課税期間も変更され、今まで一般NISAで5年間、つみたてNISAで20年間の非課税だったものが新NISAだと無期限となります。
こう見ると、えげつないパワーアップですよね。
また、新NISAでは投資対象が広がり、より多様な選択肢を持つことができるようになります。
これにより、リスク分散やポートフォリオの最適化がしやすくなると考えられます。投資初心者の方でも、これらの制度の違いを理解し、自分に合った投資計画を立てやすくなるでしょう。
旧NISA制度の概要
旧NISA制度は、一般NISAで年間120万円、つみたてNISAで年間40万円まで非課税の恩恵を受けられる投資非課税制度でした。
非課税保有限度額(生涯で保有できる投資額の上限)は一般NISAで600万円、つみたてNISAで800万円となっていました。
また、非課税の対象となる期間が設定されており、一般NISAで5年間、つみたてNISAで20年の間、非課税の恩恵を受けることができます。
旧NISA制度では、一般NISAとつみたてNISAの2本ともを使うことはできず、ご自身の投資プランに合わせて、どちらかを選択して利用する必要がありました。
また、非課税保有期間中に旧NISAで保有している商品を売却しても、非課税保有限度額の枠は復活しませんでした。
新NISA制度の概要
新NISA制度は、つみたて投資枠と成長投資枠という2つの枠が設定されています。
つみたて投資枠では年間120万円、成長投資枠では年間240万円の非課税枠が設けられています。
非課税保有限度額(生涯で保有できる投資額の上限)は合計1800万円で、うち成長投資枠は1200万円まで、となっています。
また、非課税期間は無期限と脅威の改善がされています。
旧NISA制度では、一般NISAとつみたてNISAのどちらか一つを選ぶ必要がありましたが、新NISA制度では一本化され、つみたて投資枠も成長投資枠も1人あたりどちらも利用できるようになっています。
成長投資枠では買えるけど、つみたて投資枠では買えない銘柄もあるので、その点注意が必要です。
また、非課税保有期間中に旧NISAで保有している商品を売却しても、非課税保有限度額の枠は復活しませんでしたが、新NISAでは売却した翌年に全体の非課税保有限度額が復活する、というのも旧NISAと比べて優秀と言えます。(年間の限度額は復活しません)
全体を通して、旧NISAからの強力パワーアップ版が新NISA制度と覚えておきましょう。
新NISAの活用方法
新NISAを有効的に活用するためには、まずご自身がいくら新NISAの投資に回せるか?を考えることが重要です。
年間360万円の枠を埋められる人は、最短5年で非課税保有限度額を埋めることができますが、なかなか我々一般庶民にはハードルが高いでしょう。
また、新NISAに自己資金を回しすぎて生活費が枯渇し、すぐ取り崩しをしてしまう、となれば新NISAの旨味を最大限生かせなくなってしまいます。
どういうことかというと、特に再投資型の投資信託とかであれば、時間をおけばおくほど利益が複利で増えていきます。
なので「長期間保有する」というのがとても重要になってくるのです。
まずはあなたが月いくら新NISA口座を使った投資に回していきたいのか?というのをご自身のライフプランと収入、貯蓄の状況から判断しましょう。
とは言え、「貯蓄も無いし低収入だし…」という方もいらっしゃるでしょう。
そのような方は、まずは目標の月の投資額を決め、最初は数千円といった少額で積立を開始し、節約を行いながら投資額を目標額に近づけていくのが良いと思います。
また、投資初心者の方は、リスクの低い投資信託から始めることが一般的です。値動きの大きい個別株等はその銘柄に絶対の自信がない限りは選択肢から最初は外して良いでしょう。
新NISA口座は証券会社ごとにメリット、デメリットがあるため、手数料やサービス、ポイント還元率等を比較して選ぶことが大切です。資産を効率的に増やすためにも、NISAのルールを理解し、計画的に投資を行いましょう。
新NISA口座の開設手順
NISA口座の開設手順を解説します。まず、金融機関の選定から始めましょう。多くの銀行や証券会社がNISA口座を提供しており、それぞれに特色があります。
いわゆる店舗型の銀行や証券会社では、直接スタッフの方に相談できるのがメリットですが、オンラインの証券会社と比べると手数料が高い傾向にあります。
長期間保有することで複利を利かせていくのが新NISA活用の醍醐味ですので、手数料が高いとこの複利効果が薄まり、同じ商品に積立投資をし続けたとしても、20年後30年後には利益で大幅な差が生まれてきます。
また、店舗型の銀行や証券会社では、手数料が会社の利益になるため、手数料が多く取れる商品を提案してきがち、という問題もあります。
おすすめは完全にオンラインのネット証券会社です。
手数料も安く、ポイントの還元率も高い証券会社が多いです。
その中でもSBI証券と楽天証券が総合的に評価が高く、正直新NISA口座を開くのであればこの2択で考えればいいと思います。
新NISAの口座を開く証券会社を決めたら次に、口座開設の準備をします。
通常、身分証明書やマイナンバーカードが必要です。
手続きはオンラインで簡単に行えます。
また、新NISA口座を開くステップとしては、
①証券会社自体の口座を開く
②それが出来たら新NISAの口座開設を行う
という流れになります。
また、新NISA口座を開く際には税務署の調査(他の証券会社でNISA口座を保有していないか?)が入るので、2週間前後かかる場合が多いです。
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旧NISAから新NISAへの移行はできるのか?
前述の通り、旧NISAと新NISAでは年間の限度額、非課税保有限度額に大きな変更がありました。
では、今まで旧NISAを利用していた人は、新NISAへ旧NISAで運用していた商品を引き継げるのでしょうか?
結論から言うと、「旧NISAで運用していた商品は新NISAに引き継ぐことはできません。」
旧NISAで運用をしていた人からすると、旧NISAとは別で新NISAという新しい枠がプレゼントされた、とお考えください。
なので、旧NISAで運用していた商品については、非課税保有期間の間にその商品を売却するのか?それとも非課税保有期間が過ぎたら特定口座で課税されつつも運用するのか?というジャッジを決めておくのが良いでしょう。
また、旧NISAを運用していた証券会社では、新NISA口座が自動で作られる場合がほとんどです。
もしわからない場合は、お使いの証券会社に問い合わせるのが良いでしょう。
旧NISAで使っていた証券会社とは別の証券会社で新NISA口座を開きたい場合、乗り換え先の証券会社で乗り換え用の申請や書類を提出する必要があります。
また、その申請をしたタイミングで証券会社が切り替わるのではなく、申請タイミングの翌年の年始に切り替わる、ということにも留意しましょう。
NISA未利用者が新NISAを始めるには
旧NISAと比べて、新NISAは特に年間の限度額や生涯保有限度額が大幅にアップしました。
今までNISAを使ってこなかった人も、この新NISAを活用しない手はありません。
前述の通り
①新NISA口座を開く証券会社、金融機関の選定
②口座開設
③新NISA口座の開設
というステップで新NISAを利用することができます。
新NISAに関するFAQ
新NISAを今から始める人にとって、いろんな疑問点があると思います。
ここでは、新NISAに関するよくある質問をまとめました。
新NISAを開始する最適なタイミング
新NISAを開始したいが、そのタイミングをどうしよう?と悩んでいる人も多くいると思います。
結論から言うと、長期の積立前提で新NISAを活用するつもりであれば
「今すぐ開始しろ」
というのが答えとなります。
本来、投資とは始めるタイミング、購入するタイミングというのが非常に重要になります。
当たり前ですが、株価が安い時に多く買って、株価が高い時に売ったら利益になりますからね。
しかし、この株価の上げ下げを読むのは専門家でも難しいです。
そこで、新NISA口座の積立設定を使い、毎月定額ずつ決めた商品を買っていく「ドルコスト平均法」を使った積立投資を行うのが賢明と言えます。
ドルコスト平均法とは、株価が高い時も安い時も、淡々と同じ金額ずつ買っていく手法です。
これを長期間行うことにより、株価の取得額を平準化させることができ、リスクを分散することができます。
この手法を前提とすると、前述の通り、新NISAの無期限の非課税保有期間を有効活用するために、少しでも長く保有していくのがとても重要になります。
「貧乏人が資産を築くためには、時間を味方につけよ」
とあらゆる投資本で語られていますが、まさにその通りです。
すなわち「株価が下がったら始めよう」「貯金が貯まってから始めよう」と足踏みしている期間は本来とれたはずの利益、本来複利の恩恵に預かれた期間をみすみすドブに捨てているのと同義です。
もちろん、余剰金で行うのが投資ですので、いま全く貯金が無いという人もいらっしゃるでしょう。
そのような方でも、月に数千円程度でもいいのでまずは積立を1秒でも早く始める、というのが鉄則となります。
既存の旧NISA口座から新NISAへの移行手続き
前述の通り、旧NISA口座で運用していた商品は新NISA口座に移すことはできません。
旧NISAと新NISAは別物と捉えて、新NISA口座のほうで運用を続けるのが良いでしょう。
基本的に、旧NISAで利用していた証券会社のアカウントの中に新NISA口座が作られるのが一般的ですが、再度新NISA口座の開設申請が必要な証券会社も稀にあります。
まずは、旧NISAで使っていた証券会社に問い合わせをするのが良いでしょう。
また、「旧NISAやってたから新NISAはやらなくていいや」というのは非常にもったいないと思います。
新NISAは旧NISAと比べて、限度額の面でも、非課税保有期間の面でも非常に力強いパワーアップをしています。
旧NISAの運用で培った知識と経験を、ぜひ新NISAの運用でも活かしてください。
新NISAおすすめの証券会社
新NISAは、旧NISAからえげつないパワーアップをしました。
一般庶民の感覚からすると、年間の限度額は上限が気にならないほどに拡充されましたし、非課税保有期間が無期限とされたため、出口戦略も非常に柔軟性を持って練ることができます。
新NISAを使った運用は長期戦になりますので、証券会社選びは非常に重要だと言えます。
最後に2つおすすめのネット証券会社を紹介します。
SBI証券
SBIグループ全体の証券総合口座数が1200万超で日本一のネット証券会社になります。
新NISAの対象銘柄のカバー率も高く、アプリが使える、というのは大きな利点と言えます。
取引手数料も無料で、新NISAを始めるにはうってつけの証券会社と言えるでしょう。
特に、三井住友系のカードを普段使いしている人は、クレカ積立の場合、ポイント還元も良いのでSBI証券で新NISAスタートを決めても良いと思います。
楽天証券
証券総合口座数が1100万超、旧NISAの口座開設率は全体の55%を占めて1位の証券会社となります。
現状アプリが無いのは残念ですが、webの管理画面は非常に使いやすく、初心者にもおすすめです。
新NISAの対象銘柄のカバー率も80%以上と高く、取引手数料も無料。
また、楽天証券自体が出している「楽天・プラスシリーズ」に投資をする場合、保有額に応じて楽天ポイントがもらえるのも大きいですね。
楽天カード系でクレカ積立をするとポイント還元も美味しいです。
また、楽天ユーザーであれば、ランクに応じてポイント還元率があがるSPU制度の上乗せもあるので、楽天系列のサービスを利用する方は楽天証券一択だと思います。
SBI証券と楽天証券、どっちが良いか?
SBI証券、楽天証券ともに、新NISAで購入できる対象銘柄のカバー率はほとんど変わりません。
手数料も無料で、あとはアプリの有無、どちらのポイントを貯めたいか?で判断で良いと思います。
特に、つみたて投資枠で基本的に一定額を設定して積立購入していく場合、最初の銘柄選定と積立設定が終わればガンガン管理画面を使うことは無くなります。
ですので、基本的にはどちらの関連サービス、関連カードを使っているか?で判断して良いでしょう。
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