子どものいびきが心配…睡眠時無呼吸症候群の見分け方と受診すべき病院の選び方

子どもの激しいいびきや呼吸の乱れが続くと、「もしかして病気かな?」と不安になりますよね。

睡眠時無呼吸症候群は成長や学力にも関わるため、サインを早く見極めて正しく対処することが大切です。

受診すべき病院や治療法について、私が分かりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。

この記事のポイント

  • いびきや無呼吸が招く成長・学力への深刻なリスク
  • 特徴的な5つのサインで病気の可能性をセルフチェック
  • 耳鼻咽喉科での検査手順と手術を含む4つの治療方法

子どもの睡眠時無呼吸症候群の特徴

ここでは、子どもの睡眠時無呼吸症候群(小児SAS)がどのような病気なのかを分かりやすく解説していきます。

小児SASの定義

子どもの睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が止まったり、弱くなったりする状態を指します。

日本国内では約1〜4%の子どもがこの病気を抱えていると推測されており、決して珍しいことではありません。

日本小児耳鼻咽喉科学会のガイドラインによると、3〜6歳くらいの子どもに最も多く見られるのが特徴です。

早期に発見して適切なケアを始めることが、お子さまの健やかな成長を守るための第一歩となります。

【用語解説】SAS(サス)とは、Sleep Apnea Syndromeの略称で、睡眠中に呼吸が止まる病気のことです。

大人との違い

子どもの無呼吸症候群は、大人のケースとは原因や症状が大きく異なります

大人は肥満が主な原因であることが多いですが、子どもの場合は喉の奥にある「扁桃」などの肥大が原因となることがほとんどです。

また、大人は日中に強い眠気を感じますが、子どもは逆にイライラしたり、落ち着きがなくなったりすることがあります。

以下の表で、大人と子どもの主な違いをまとめました。

比較項目子どものSAS大人のSAS
主な原因扁桃・アデノイドの肥大肥満・喉周りの脂肪
日中の様子多動・不注意・イライラ強い眠気・居眠り
体型痩せ型の子も多い肥満体型が多い

診断基準

子どものSASの診断基準は、大人よりも非常に厳しく設定されています

大人の場合は1時間あたりの無呼吸・低呼吸が5回以上で診断されますが、子どもの場合はわずか「1回」を超えるだけで異常とみなされます。

つまり、一見すると少なく感じる回数でも、成長期の子どもにとっては深刻な影響を及ぼす可能性があるのです。

最新の臨床モデルでは、扁桃のサイズや炎症マーカーを統合して、早期に重症度を予測する手法も提案されています。

注意すべき5つの代表的なサイン

お子さまの睡眠中や日中の様子に、以下のようなサインがないか確認してみましょう。

激しいいびき

最も分かりやすいサインは、毎晩のように続く大きないびきです。

「スースー」という寝息ではなく、喉が鳴るような激しい音がしたり、呼吸が止まって突然「ガッ」とあえいだりする場合は注意が必要です。

たまにかく程度なら心配いりませんが、週に3日以上いびきをかいているなら、専門医への相談を検討してください。

寝ている時の姿勢が苦しそうだったり、何度も寝返りを打って暴れたりするのも、呼吸が苦しいサインかもしれません。

陥没呼吸

陥没呼吸とは、息を吸い込む時に胸の真ん中や鎖骨の上がペコペコとへこむ状態のことです。

これは、空気の通り道が狭いために、一生懸命に力一杯息を吸おうとしている証拠です。

特に乳幼児の場合は、お腹だけで呼吸しているように見えたり、肋骨の周りがくぼんだりすることがあります。

寝ている時にお子さまのパジャマをめくって、胸の動きがスムーズかどうか観察してみてくださいね。

口呼吸

日中も寝ている時も常に口が開いている「口呼吸」も、重要なチェックポイントです。

鼻の奥にあるアデノイドが肥大していると鼻呼吸ができなくなり、どうしても口で息をするようになります。

口呼吸が続くと口の中が乾燥し、虫歯になりやすくなったり、風邪を引きやすくなったりするリスクもあります。

また、常に口を開けていることで顔の筋肉が緩み、「アデノイド顔貌」と呼ばれる特有の顔立ちになることも指摘されています。

日中の眠気

夜間に質の高い睡眠が取れていないと、日中の活動に支障が出ることがあります。

授業中にうとうとしてしまったり、お昼寝の時間が極端に長くなったりしている場合は、睡眠の質を疑ってみましょう。

2026年に発表された「世界睡眠調査」でも、睡眠の質が子どもの学習意欲に直結することが改めて強調されています。

「うちの子はよく寝るから大丈夫」と思っていても、実は眠りが浅いために長時間寝ないと体が持たない状態かもしれません。

多動・不注意

意外かもしれませんが、睡眠不足の子どもは「落ち着きがなくなる」という形で症状が現れることが多いです。

集中力が続かない、じっとしていられないといった行動は、脳が眠気に対抗しようとして過剰に活動している状態と言えます。

2025年の研究では、SASとADHD(注意欠如・多動症)を併発している子どもは、炎症マーカーやドーパミン分泌に異常が見られることが報告されています。

性格の問題だと思い込まずに、まずは睡眠環境を見直してみることが解決の糸口になるかもしれません。

原因と成長・学力への深刻なリスク

なぜ子どもが無呼吸になるのか、そして放置することでどのようなリスクがあるのかを見ていきましょう。

扁桃・アデノイド肥大

子どもの無呼吸症候群の最も大きな原因は、喉の奥にあるリンパ組織の肥大です。

口蓋扁桃(こうがいへんとう)や、鼻の奥にあるアデノイドが大きくなりすぎると、空気の通り道が物理的に塞がれてしまいます。

これらは成長とともに自然と小さくなることが多いですが、3歳から6歳ごろにピークを迎えるため、この時期の症状が最も激しくなります。

風邪をひいた時だけでなく、普段から喉が狭そうな様子があれば早めの受診が大切です。

【用語解説】アデノイドとは、鼻の突き当たりにあるリンパ組織の塊で、細菌やウイルスの侵入を防ぐ役割があります。

顎の形や肥満

扁桃の肥大以外にも、顎の形や体型が原因になることがあります。

最近は柔らかい食べ物を好む傾向から顎が十分に発達せず、舌が収まるスペースが狭くなっている子どもが増えています。

顎が小さいと、寝た時に舌の根元が喉に落ち込みやすく、気道を塞ぐ原因となってしまうのです。

また、学童期以降では肥満によって喉周りに脂肪がつき、呼吸を妨げるケースも増加しています。

成長ホルモンへの影響

睡眠時無呼吸症候群は、お子さまの体つきの成長にも深刻な影を落とします。

成長に必要な「成長ホルモン」は、夜間の深い睡眠中に集中的に分泌されるからです。

呼吸が止まって何度も目が覚めてしまうと、深い眠りに入ることができず、ホルモンの分泌が阻害されてしまいます。

その結果、同年代の子に比べて身長が伸び悩んだり、体重が増えにくかったりする「成長障害」を引き起こす可能性があります。

学習能力の低下

質の悪い睡眠は、脳の発達や認知機能にも悪影響を及ぼすことがわかっています。

こども家庭庁の指針でも、幼児期のいびきが将来の成績不振につながる可能性が指摘されており、早期発見が重要視されています。

睡眠中に脳へ十分な酸素が行き渡らないと、記憶力や思考力を司る前頭葉の働きが鈍くなってしまいます。

「勉強に集中できない」「忘れ物が多い」といった悩みは、実は夜の呼吸が原因かもしれません。

病院選びと検査の具体的なステップ

お子さまに疑わしい症状がある場合、どのように行動すれば良いかを具体的に解説します。

診療科を選ぶ

まずは、耳鼻咽喉科(耳鼻科)または小児科を受診するのが一般的です。

喉の扁桃やアデノイドの状態を直接確認してもらうには、専門的な器具がある耳鼻咽喉科がスムーズでしょう。

ただし、日中の多動や成長の遅れが気になる場合は、かかりつけの小児科で総合的に判断してもらうのも良い方法です。

受診の際は、いつからどのような症状があるのかをメモして持参すると、医師に状況が伝わりやすくなります。

動画を撮影する

病院へ行く前に、ぜひ準備していただきたいのが、お子さまの寝ている時の動画撮影です。

診察室では起きている時の状態しか確認できないため、実際のいびきや呼吸の様子を映像で見せることが非常に有効な診断材料になります。

特に「呼吸が止まっている瞬間」や「胸の陥没」がわかるように、パジャマを少しめくって数分間撮影しておきましょう。

スマートフォンのカメラで十分ですので、音もしっかり録音できるように近くで撮影してくださいね。

在宅検査を受ける

2026年3月からは、自宅でより精密な睡眠評価ができる「ナイトグラフ」などの新型デバイスが保険適用されています。

これまでは入院が必要だったような脳波測定も、約3gという非常に軽い電極を自宅で装着するだけで行えるようになりました。

環境が変わると眠れないお子さまでも、いつものお布団でリラックスして検査を受けられるのは大きなメリットです。

AI解析システムにより、精度の高い結果が短期間で得られるようになり、早期発見のハードルがぐんと下がっています。

精密検査を受ける

より詳しく調べる必要がある場合は、病院に一泊して「PSG(睡眠ポリグラフ)検査」を行います。

脳波や呼吸、血液中の酸素濃度などを全身に付けたセンサーで一晩中モニタリングする、最も正確な検査方法です。

「子どもが検査中に装置を外してしまわないか」と不安になる親御さんも多いですが、専門の技師がしっかりサポートしてくれます。

この検査結果に基づいて、手術が必要なレベルなのか、経過観察で良いのかを最終的に判断することになります。

検討される4つの主な治療方法

診断の結果、治療が必要となった場合の選択肢について見ていきましょう。

外科手術

小児SASにおいて最も一般的で、効果が高いとされているのが扁桃やアデノイドを切り取る手術です。

改善率は80%以上とも言われており、多くのケースで劇的な症状の改善が見込めます。

手術と聞くと不安を感じるかもしれませんが、空気の通り道を物理的に広げるため、根本的な解決につながる唯一の方法です。

術後は呼吸がスムーズになるだけでなく、食事の通りが良くなって体重が増えたり、性格が穏やかになったりするお子さまも多いですよ。

薬物療法

症状が軽度の場合や、アレルギー性鼻炎などを併発している場合は、お薬による治療を行います。

ステロイドの点鼻薬などを使用して、鼻の粘膜の腫れを鎮めることで、空気の通りを良くしていきます。

これで完全に無呼吸が治るわけではありませんが、鼻づまりが解消されることでいびきが軽減されることがあります。

手術を検討する前段階として、数ヶ月間お薬を使って様子を見るケースも少なくありません。

歯科矯正

顎が小さく、歯並びが原因で気道が狭くなっている場合は、歯科矯正による治療が検討されます。

「急速拡大装置」という器具を使い、上顎を少しずつ広げることで、鼻からの空気の通り道を確保する手法です。

特に成長期の段階で顎を正しく発達させることは、将来的なSASのリスクを下げることにもつながります。

歯科医師と耳鼻科医が連携して治療を行うケースも増えており、お顔立ちのバランスも整うメリットがあります。

CPAP療法

CPAP(シーパップ)は、鼻に付けたマスクから空気を送り込み、気道を広げて呼吸を助ける装置です。

2026年6月の診療報酬改定により、子どものCPAP治療における保険適用基準が緩和されました。

これにより、以前よりも早い段階で治療を開始できるようになり、手術が難しいケースや術後の補助としても活用されています。

装置を付けて寝る習慣をつけるまでは親子で根気が必要ですが、装着したその日から深い眠りを得られるのが特徴です。

睡眠時無呼吸症候群の子どもに関するQ&A

最後によくある質問にお答えします。

お子さまの状況と照らし合わせて参考にしてください。

Q1:うちの子のいびきは、成長すれば自然に治りますか?

A:アデノイドなどは成長とともに小さくなりますが、それまでの間に脳や体の成長が阻害されるリスクがあります。

放置せず一度専門医に相談することをおすすめします。

Q2:手術にはどのくらいの入院期間が必要ですか?

A:病院や術式にもよりますが、一般的には5日から1週間程度の入院が必要となることが多いです。

お子さまの体力や術後の経過を慎重に見守るための期間です。

Q3:検査の時に寝られなかったらどうなりますか?

A:完璧にぐっすり眠れなくても、断続的な睡眠データから診断は可能です。

最近は自宅で測れる軽量な装置も普及しているので、以前より心理的な負担は少なくなっています。

Q4:肥満ではないのに無呼吸になることはありますか?

A:はい、十分にあります。

子どもの場合は肥満よりも扁桃肥大や顎の骨格による原因が圧倒的に多いため、痩せていても激しいいびきがある場合は注意が必要です。

お子さまのいびきや眠りの異変に気づけるのは、一番近くで見守っている保護者の皆さまだけです。

2026年現在は検査や治療の選択肢が広がり、以前よりも負担の少ない方法が選べるようになっています。

「ただのいびき」と見過ごさず、お子さまの明るい未来のために、まずは第一歩を踏み出してみてくださいね。

まとめ:適切な受診で子どもの成長を守ろう

ここまで読んでいただきありがとうございます!

「ただのいびきかな?」と思っていたことが、実は大切な成長に関わるサインだった…なんてこともあります。

今回お伝えした大事なポイントを、最後にもう一度おさらいしましょう!

  • 大人とは原因が違う:子どもの場合は「肥満」ではなく「扁桃腺の腫れ」が主な原因です。
  • 診断基準は超シビア:1時間にたった1回の無呼吸でも、成長期の子どもには要注意!
  • 日中の様子に注目:強い眠気だけでなく、イライラや不注意がサインになることも。
  • 早めのケアが吉:早期発見・治療がお子さんの健やかな発育にガチで直結します。

「うちの子、もしかして…?」と少しでも不安になったら、まずは迷わず耳鼻咽喉科を受診してみてください。

早めに専門医に相談することが、お子さんのグッスリ快眠とパパ・ママの安心への近道ですよ!

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